「FXで勝てるようになったきっかけは何ですか?」
この質問に一つだけ答えるなら、わたしの場合は損切りする位置が明確になったことです。
勝てるエントリー手法を見つけたことでも、相場を完璧に予測できるようになったことでもありません。予測が外れたときに、どこで取引を終えるのかを先に決め、その損失を受け入れられるようになったことが大きな転機でした。
この記事では、FXを始めたばかりの頃にわたしが犯した失敗と、そこから損切りをどのように考えるようになったのかを、初心者の方にも分かるようにお話しします。
最初の頃は「入る場所」ばかり勉強していた
わたしがFXを始めたのは2006年です。
当時も書籍を読んだり、教材を購入したりして、自分なりに勉強しているつもりでした。しかし、今振り返ると、勉強していたのはほとんどがエントリー手法でした。
エントリーとは、新しく買いや売りの取引を始めることです。
「どこで買えば上がるのか」「どこで売れば下がるのか」。そのタイミングさえ分かれば勝てると思っていたんですね。反対に、予測が外れたときにどうするかは、ほとんど考えていませんでした。
この頃、わたしは売買のタイミングをメールで知らせるシグナル配信サービスも利用していました。「ポンド円を買いましょう」といった指示が届き、それと同じ取引をするサービスです。
「勝率95%」「損切りをしない」という言葉に魅力を感じ、月額料金を払って参加しました。今のわたしなら、このような言葉だけで判断することはありません。しかし、当時はFXについて見極める知識が足りず、数字の強さに引かれてしまいました。
2007年、ポンド円を約251円で買った
忘れられないのが、2007年のポンド円での取引です。
配信されたシグナルに従い、わたしはポンド円を約251円で買いました。FXで買いから取引を始めることを「ロング」といいます。価格が上がれば利益になりますが、下がれば損失が発生します。
わたしが買ったあと、価格は予測と反対に大きく下がっていきました。それでも、どこで損切りするかを決めていなかったため、ただ値動きを見ながらオロオロすることしかできませんでした。
「そのうち戻るかもしれない」
そう考えている間にも損失は広がり、約3か月のあいだ夜も眠れない状態が続きました。最終的には強制ロスカットとなり、口座の資金を失いました。

強制ロスカットとは、損失が一定の水準まで膨らんだときに、FX会社が保有中の取引を強制的に決済する仕組みです。投資家の損失拡大を抑えるための仕組みですが、そこまで達した時点で資金は大きく減っています。
この経験のあと、しばらくはチャート画面を見ることもできませんでした。
損切りとは「負けを増やさないために取引を終えること」
損切りとは、含み損が出ている取引を決済し、損失額を確定させることです。
含み損とは、まだ決済していないものの、その時点でマイナスになっている金額を指します。決済すれば損失が確定するため、「もう少し待てば戻るのではないか」と考え、先延ばしにしたくなる方もいると思います。
しかし、損切りの目的は、1回の負けをなくすことではありません。予測が外れた取引の損失を一定範囲にとどめ、次の取引を続けられる資金を残すことです。

損切りを入れた取引でも、損失が出ることはあります。けれども、あらかじめ決めた場所で取引を終えれば、失う範囲を想定できます。損切りを決めないまま持ち続けると、損失だけでなく不安も膨らみ、生活や次の判断にまで影響しやすくなります。
損切り位置は「自分のシナリオが崩れる場所」に置く
学び直したあと、わたしは直近の安値や高値を基準に損切り位置を考えるようになりました。ここにはダウ理論の考え方を使っています。
ダウ理論とは、値動きから相場の流れを判断する基本的な考え方です。その中に、高値と安値がそれぞれ前より上がっているあいだは上昇トレンド、高値と安値がそれぞれ前より下がっているあいだは下降トレンドが続いていると考える見方があります。
たとえば、上昇が続くと考えて買う場合、直近の安値を明確に下回れば、想定していた上昇の形が崩れた可能性があります。売る場合は反対に、直近の高値を上回った場所が、下降のシナリオを見直す目安になります。

ここで大切なのは、「これ以上の損失が怖いから」という気分だけで場所を決めるのではなく、最初に立てたシナリオが崩れたかどうかで判断することです。
もちろん、直近の高値・安値を使えば必ずうまくいくという意味ではありません。相場の見方や手法によって基準は異なります。わたしの場合は、損切りに理由を持たせることで、必要な損失として受け入れられるようになりました。
損切りが明確になると、メンタルも安定しやすくなる
損切り位置が明確になってから変わったのは、資金面だけではありません。値動きに振り回されにくくなり、気持ちも安定してきました。
以前は価格が損切り位置に近づくと、「もう少しだけ広げよう」と位置を動かしていました。これでは最初に決めたルールがなくなり、どこまでも損失を広げてしまいます。
今は、エントリー前に損切り位置を決め、そこへ達したら受け入れます。そして、次の条件が整うまで待ち、また同じ判断を淡々と繰り返します。
1回の損切りは失敗そのものではありません。自分のシナリオと実際の値動きが違ったため、その取引をいったん終えたということです。資金が残っていれば、次の機会に向けて検証し、準備を続けられます。
初心者が取引前に確認したい3つのこと
これからFXを始める方、損切りを曖昧にしていた方は、エントリー前に次の3点を確認してみてください。
- 予測と反対に動いたとき、どこで取引を終えるか
- その位置で決済した場合、損失額はいくらになるか
- 実際にその損失が出ても、次の取引を続けられるか
損切り価格だけを決めても、取引量が大きすぎれば、失う金額も大きくなります。損切り位置と取引量はセットで考える必要があります。
また、エントリーしたあとに都合よく損切り位置を遠ざけないことも大切です。動かしたくなったときは、最初のシナリオが今も成り立っているのかを確認してください。
取引前に入口だけでなく出口まで決める考え方は、あなたはシナリオを立てて投資をしていますか?でも詳しくお話ししています。決めたルールに自信を持つためには、検証がメンタルを鍛えられる3つの理由も参考にしてください。
まとめ|勝つ方法を探す前に、負けを管理する
わたしがFXで勝てるようになった大きなきっかけは、損切り位置が明確になり、その損失を受け入れられるようになったことです。
エントリー方法を学ぶことは必要です。しかし、どれだけ勉強しても、すべての値動きを当て続けることはできません。だからこそ、予測が外れたときの行動まで先に決めておく必要があります。
大きく勝つ方法を探す前に、大きく負けないための基準を持つ。
それが、資金と心の両方を守りながら、次のトレードへ進むための土台になります。
今回の内容は、YouTube動画「FXで勝てるようになったきっかけは何ですか?」でもお話ししています。
※FXは元本や利益が保証される取引ではありません。相場状況によっては、証拠金を上回る損失が生じる可能性があります。取引の仕組みとリスクを理解し、ご自身の資力・経験・目的に照らして判断してください。



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