FX初心者にリスクリワード1対1をすすめる理由|利益を伸ばす前に身につけたいこと

バスケットボールをドリブルする講師と並んで走る白い子犬で、FX初心者が1対1から段階的に練習する考え方を表した画像 投資に関するQ&A

「利益はできるだけ伸ばしたほうが、最終的に大きく稼げるのでは?」

「なぜ初心者には、リスクとリワードを1対1にする方法をすすめるのですか?」

このようなご質問をいただきました。

結論からお伝えすると、利益を伸ばすこと自体が悪いわけではありません。ただ、利益を伸ばす判断は、初心者にとって難易度の高い技術です。

そのため、わたしは最初からすべてを身につけようとするのではなく、まず決済を機械的に設定し、エントリー(新しく取引を始めること)のタイミングを身につけることに集中していただきたいと考えています。その練習をしやすくする一つの方法が、リスク:リワード=1:1です。

この記事では、リスクリワードの意味から、1対1で練習する理由、次の段階へ進む目安まで解説します。

リスクリワード1対1とは?

リスクリワードとは、1回の取引で受け入れる損失と、狙う利益の比率です。「損益比率」と呼ばれることもあります。

たとえば、損切りになったときの損失を1,000円に設定し、利益確定したときの利益も1,000円に設定するなら、リスク:リワードは1:1です。

  • 損失の予定額:1,000円
  • 利益の目標額:1,000円
  • リスク:リワード=1:1

損切りとは、予測と反対に価格が動いたときに取引を終え、損失を確定させることです。利益確定、または利確とは、利益が出ている取引を終え、その利益を確定させることをいいます。

損失幅1と利益幅1を同じ大きさにした、リスクリワード1対1の基本図

なお、1対1にすれば必ず利益が残るわけではありません。単純計算では勝率50%が損益分岐点になりますが、実際の取引にはスプレッドなどのコストがあります。スプレッドとは、買値と売値の差で、取引時に実質的なコストになるものです。そのため、リスクリワードだけでなく、勝率や取引コストも含めて振り返る必要があります。

「利益を伸ばすほうが得」に見えるのは自然なこと

損切り幅が1に対して、利益を2、3と伸ばせれば、少ない勝ちでも損失を補いやすくなります。数字だけを見ると、1対1より1対2、1対3のほうが有利に感じるかもしれません。

ただし、目標を遠くに置けば、その価格まで必ず届くわけではありません。途中まで利益が出ても相場が反転し、利益が小さくなったり、最終的に損切りになったりすることもあります。

利益を伸ばすには、少なくとも次のような判断が必要です。

  • 相場の流れがまだ続いているか
  • 一時的な値戻しなのか、流れが変わったのか
  • どこまで伸びる可能性があるか
  • 利益が減っても、決めたルールどおり待てるか
  • 途中で損切り位置や利益確定位置を変えるのか

つまり、利益を伸ばす方法は「決済ボタンを押すのを遅らせるだけ」ではありません。含み益(まだ決済していない段階の利益)が増減する中でも、決めたルールを守る必要があります。わたしは、これはかなり難易度の高い技術だと考えています。

初心者がつまずく原因は「やることが多すぎる」こと

わたしはバラエティ番組の『アメトーーク!』が好きで、運動が苦手な芸人さんがスポーツに挑戦する企画をよく見ていました。

その中で、バスケットボールのドリブルシュートに挑戦した方が、一連の動作に対して「やること多すぎ」と話していた場面が、とても印象に残っています。

バスケットボールに慣れている人なら、ドリブルをして、足を止め、ジャンプし、ゴールへ向けてボールを投げる動作を、ほとんど無意識に行えます。しかし、慣れていない人にとっては、一つひとつが別の作業です。全部を一度にやろうとすると、どの動作もうまくできなくなってしまいます。

FXも同じです。

日足を見て、4時間足を見て、1時間足、15分足、5分足を確認する。「日足」は1本で1日の値動き、「4時間足」は1本で4時間の値動きを表すチャートです。そこからエントリーのタイミングを決め、損切り位置を考え、利益をどこまで伸ばすか判断します。

すべてを同時に練習すると、負けたときに「エントリーが悪かったのか」「決済が早かったのか」「利益を伸ばしすぎたのか」が分からず、改善点を絞れません。

1対1にする目的は、エントリーの練習へ集中するため

そこで、最初の段階では、利益確定と損切りの幅を1対1に設定します。そして、エントリーと同時に利益確定と損切りの注文も入れ、決済はあらかじめ決めたルールに任せます。

決済の条件を固定すると、練習中に考える中心は「このエントリーは、自分のルールに合っていたか」という一点になります。

もちろん、実際の相場では急な値動きなどによって、予定した価格で決済されない可能性もあります。それでも、取引を始める前に出口を決めておくことで、その場の感情だけで判断を変える場面を減らしやすくなります。

これは、バスケットボールで最初にドリブルだけを練習するのと同じです。FXでも技術を細かく分け、一つずつ身につけたほうが、どこで迷っているのかを確認しやすくなります。

決済を1対1に固定してエントリーへ集中し、反復後に利益を伸ばす練習へ進む3ステップ

リスクリワード1対1は「ずっと続ける正解」ではない

ここは誤解しないでいただきたいのですが、1対1は、すべての人がどの相場でも使い続ける唯一の正解ではありません。

最初の目的は、利益を最大化することではなく、決めた条件でエントリーし、その結果を振り返れる状態を作ることです。エントリーの判断が安定してきたら、次の段階として利益を伸ばす方法を学びます。

たとえば、次のようなことを自分の言葉で説明できるようになっているかを確認します。

  • エントリーした理由を説明できる
  • 損切り位置を先に決められる
  • 利益確定と損切りを途中の感情で動かさない
  • 勝ち負けにかかわらず、同じ条件で記録できる
  • ルールどおりの取引と、ルールを外れた取引を分けられる

この土台がないまま利益を伸ばそうとすると、利益が減るのが怖くなって早く決済したり、逆に「まだ伸びるはず」と根拠なく持ち続けたりしやすくなります。

利益を伸ばす段階では、過去のチャートを使った検証も必要です。検証とは、決めたルールを過去の相場に当てはめ、どのような場面で機能し、どのような場面でうまくいかなかったかを確かめる作業です。検証については、検証がメンタルを鍛えられる3つの理由でも詳しくお話ししています。

初心者が1対1を練習するときの注意点

1対1と決めても、途中でルールを変えてしまうと、練習の意味が薄くなります。

よくあるのは、利益が少し出たところで早く確定する一方、損失が出ると損切り位置を遠ざける行動です。これでは、最初は1対1でも、実際には利益が小さく、損失が大きい取引になってしまいます。

また、1回の勝ち負けだけで方法を判断しないことも大切です。正しい条件で入っても負けることはありますし、ルールを破っても偶然勝つことはあります。見るべきなのは、その取引が勝ったかではなく、決めた手順を再現できたかです。

取引前には、少なくとも次の3点を確認してみてください。

  1. エントリー条件はそろっているか
  2. 損切りと利益確定の位置は決まっているか
  3. 損切りになっても受け入れられる取引量か

入口だけでなく出口まで先に決める考え方は、あなたはシナリオを立てて投資をしていますか?でも解説しています。

まとめ|利益を伸ばす前に、一つの技術を習慣にする

利益を伸ばすことは、FXで大切な技術の一つです。しかし、初心者が最初からエントリー、損切り、利益確定、相場の流れ、保有中の判断をすべて同時に身につけようとすると、やることが多すぎて、何を改善すればよいか分からなくなります。

だからこそ、最初はリスクリワードを1対1に設定し、決済を機械的にする。まずはエントリーのタイミングに集中し、同じ手順を繰り返せる状態を目指します。

そのうえで、エントリー技術が身についてから、次の段階として利益を伸ばす練習へ進む。遠回りに見えても、一つずつ身につけるほうが、自分の判断として定着しやすいと考えています。

まずは次の取引で、「どこで入るか」だけでなく、「どこで損切りし、どこで利益を確定するか」まで、エントリー前に書き出してみてください。そこから、あなたのトレードを振り返れるようになります。

今回の内容は、YouTube動画「【ご質問コーナー】なぜ利益を伸ばさずに、リスク:リワード=1:1を推奨しているのですか?利益を伸ばすほうが良くないですか?」でもお話ししています。

※FXは元本や利益が保証される取引ではありません。相場状況や取引方法によっては、あらかじめ想定した金額を上回る損失が生じる可能性があります。取引の仕組みとリスクを理解し、ご自身の資力・経験・目的に照らして判断してください。

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