移動平均線とは、過去の一定期間の価格を平均し、その平均値を線でつないだものです。
FXのチャートを開くと、ローソク足の間をなめらかに進む線が表示されていることがあります。これが移動平均線です。代表的なテクニカル指標の一つですが、初めて見る方にとっては「この線が何を表しているのか」「何本に設定すればよいのか」が分かりにくいと思います。
最初に覚えていただきたいことは多くありません。
- 移動平均線は、過去の価格の平均を表す線
- 「20本移動平均線」なら、過去20本分のローソク足を使う
- 線の傾きから、相場に方向があるかを確認する
この記事では、移動平均線を初めて見る方に向けて、この3点を図解で説明します。移動平均線を使ったエントリー方法ではなく、まず「何を表す線なのか」を理解するための基礎編です。
移動平均線とは、過去の価格を平均した線
移動平均線は、過去の一定期間の取引価格の平均値を計算し、その値をチャート上で線として結んだものです。
多くのチャートでは、ローソク足が完成したときの価格である「終値(おわりね)」を使って平均を計算します。終値とは、その時間が終わった時点の価格です。
たとえば、5本移動平均線なら直近5本分、20本移動平均線なら直近20本分の価格を使います。平均を出す範囲を少しずつ右へ移しながら、新しい平均値を計算し続けます。その点と点を結ぶことで、1本のなめらかな線になります。

チャート上のローソク足は、価格の上げ下げを細かく表します。一方、移動平均線は複数のローソク足を平均するため、細かな上下がならされ、相場の大きな流れを見やすくなります。
ここでいう「テクニカル指標」または「インジケーター」とは、過去の値動きを計算し、相場を見るための補助情報としてチャート上に表示するものです。移動平均線は、その中でも基本となる指標です。
ただし、移動平均線は過去の価格から作られています。未来の値動きを当てたり、利益を保証したりする線ではありません。現在までの流れを整理して見るための道具だと考えてください。
20本移動平均線の「20本」とは何か
20本移動平均線は、現在のローソク足から過去20本分の価格を平均して作られます。
たとえば、ある時点で直近20本分の価格を平均し、その値をチャート上に点で置きます。ローソク足が1本進んだら、平均を計算する範囲も1本分進みます。そして、新しく計算した平均値を次の点として置きます。この作業を続け、点を線で結んだものが20本移動平均線です。

初心者の方に注意していただきたいのは、「20本」がいつでも20日を意味するわけではないことです。
日足のチャートでは、ローソク足1本が1日分なので、20本は直近20本分の日足です。1時間足なら、ローソク足1本が1時間分なので、直近20本分の1時間足を使います。同じ20本移動平均線でも、表示している時間足によって平均する時間の範囲が変わるんですね。
わたしが説明の中でよく使うのは、5本と20本の移動平均線です。5本の線は直近の値動きの影響を受けやすく、20本の線はそれよりも長い範囲を平均します。一般に、平均する本数が少ないほど価格の動きへ早く反応し、本数が多いほど動きはゆるやかになります。
最初から何本もの線を表示すると、かえって見づらくなることがあります。まずは20本移動平均線を1本だけ表示し、ローソク足との動きの違いを眺めてみると分かりやすいです。
移動平均線の傾きから相場の状態を見る
移動平均線を表示したら、最初に見ていただきたいのは線の傾きです。
右上がりなら上昇方向
移動平均線が右上がりになっているときは、平均した価格が少しずつ高くなっています。そのため、相場は上昇方向へ進んでいると判断できます。
右上がりの傾きがはっきりしているほど、上昇の勢いが強い状態です。反対に、右上がりではあっても傾きがゆるやかなら、上昇方向ではあるものの、勢いはそれほど強くないと見ます。
右下がりなら下降方向
移動平均線が右下がりなら、平均した価格が少しずつ低くなっています。この場合は下降方向です。右下がりの傾きが強ければ強い下降トレンド、傾きがゆるやかなら弱い下降トレンドとして見ていきます。
「トレンド」とは、価格が上または下へ一定の方向性を持って動いている状態のことです。上へ進む流れを上昇トレンド、下へ進む流れを下降トレンドと呼びます。
水平に近いならレンジ相場
移動平均線がほぼ水平で、上向きとも下向きとも言いにくいときは、相場に明確な方向が出ていない可能性があります。このように、一定の範囲を行ったり来たりする状態を「レンジ相場」と呼びます。

レンジ相場では、上がったと思ったら下がり、下がったと思ったら戻る動きが起こりやすくなります。方向がはっきりしないため、トレンドに沿って取引する方法では判断が難しくなりやすい場面です。
移動平均線の傾きを見ると、「今は上へ進みやすい状態か」「下へ進みやすい状態か」「方向がはっきりしない状態か」を大まかに整理できます。
傾きは一瞬ではなく、少し離れて確認する
移動平均線の傾きを見るときは、線の先端だけを見て判断しないことが大切です。
相場は常に動いているため、直近のローソク足が少し上がっただけでも、線の先がわずかに上向くことがあります。そこで「上昇トレンドになった」と急いで決めると、すぐに線が横向きへ戻ることもあります。
チャートを少し広く表示し、移動平均線がしばらく右上がりを続けているか、ほぼ横ばいの状態が続いているかを確認してください。一本のローソク足ではなく、線全体の向きと傾きを見るイメージです。
また、傾きには「何度以上なら強い」という絶対的な基準があるわけではありません。チャートの縦横の縮尺を変えると、同じ線でも角度が違って見えるためです。角度の数字を測るより、同じ画面の中で傾きがはっきりしている場所と、ゆるやかな場所、水平に近い場所を見比べてみてください。
移動平均線だけでエントリーを決めない
移動平均線は、相場の状態を見やすくしてくれる便利な道具です。ただ、線が右上がりだからという理由だけで、すぐに買えばよいわけではありません。
移動平均線は、すでに動いた価格を平均して作るため、実際の値動きより遅れて動きます。急に相場の方向が変わっても、線の傾きにはすぐ反映されないことがあります。
今回の目的は、エントリーポイントを探すことではありません。まずは移動平均線の意味を理解し、傾きから相場の状態を大まかに判断できるようになることです。
実際のトレードでは、ローソク足の動きやほかの条件も確認し、条件が曖昧なら見送る判断も必要です。移動平均線を「売買を自動で決めてくれる線」ではなく、自分で判断するための補助道具として使っていただければと思います。
初心者は20本移動平均線を表示して確認する
知識として読んだあとは、実際のチャートを開いて、次の順番で確認してみてください。
- ローソク足だけのチャートを開く
- 20本移動平均線を1本表示する
- 右上がり、右下がり、水平に近い場所を探す
- 傾きが強い場所と、ゆるやかな場所を見比べる
- その場所のローソク足がどのように動いているかを確認する
最初は、上がるか下がるかを予測しなくても構いません。「ここは線が強く上を向いている」「ここは横向きなので方向が分かりにくい」と、自分の言葉で説明できれば十分です。

まとめ
移動平均線は、過去の一定期間の価格を平均し、その平均値を線で結んだものです。20本移動平均線であれば、過去20本分のローソク足の価格を使って計算します。
線が右上がりなら上昇方向、右下がりなら下降方向、水平に近ければレンジ相場の可能性があります。傾きがはっきりしているほど、その方向への勢いも強いと判断します。
ただし、移動平均線は過去の価格から作られる補助指標です。線だけで未来の値動きやエントリーを決めるものではありません。
まずは20本移動平均線を1本表示し、傾きの違う場所を見比べてみてください。知識を増やす前に、実際のチャートで繰り返し確認することが、移動平均線を自分で読めるようになる第一歩です。
※FXは元本や利益が保証される取引ではありません。相場状況によって損失が生じる可能性があります。取引の仕組みとリスクを理解し、ご自身の資力・経験・目的に照らして判断してください。



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